この季節の過ごし方 冬至
「知る」ということはすごいこと
21日(月)が冬至でした。
寒い日が続きますが、ここから、日一日と昼が長くなると思うと、気持ちが明るくなりますね。
日ごとに昼が長くなったかどうかはわからなくても、2週間くらいを経ると、なんとなく実感がわいてきます。
その昔には、ああ、あそこが一番暗かったのだなと思い返し、星の軌道と重ね合わせ、占星術や、天文学となり、暦が作られたのかと思います。
赤道近くの人ならいざ知らず、日本やそれ以上の緯度に住む人にとっては、冬至がいつなのかを知ることは、重要なことでしょう。
精神衛生上、冬至というものが来て、そこから明るくなっていくということを知っているのと知っていないのとは大違いです。どんどん暗くなって寒くなっていく先にちゃんと打つ底があることを知っているだけで、気持ちの安定が違います。
新型コロナウィルスの教えてくれるもの
さて、この2020年は、新型コロナウィルスが猛威を振るい始めた年として、後世に刻み込まれるであろう記念碑的な年となりました。
恐ろしいことに、わたしたちは、このウィルスがどれだけ悪さをしていくのか、その底がどこなのかをまだ知りません。
可能性として、今起こっている状況がほんの序の口、ジェットコースターで言えば、まだ最初のカーブで揺さぶられただけ、本当に怖いのは実はこれからということもあり得えます。
でも、今以上におびえても仕方ありません。
あるヨーガの本で読んだ寓話に、こんなものがあります。
とある修行者が、木の下で瞑想していたところ、
目の前の道をコレラ菌が歩いていきます。
修行者が見つけて、問いただします。
「おい、お前、どこに行く?」
コレラ菌は立ち止まり、「お祭りにでかけて、
400人ばかり人を殺さねばなりません」と答えて、
道の先で行われている大きなお祭りにまた歩き出
しました。
修行者は、引き続き瞑想に戻ります。
やがて、道の向こうから、人のうわさづてで、
お祭りでコレラが発生して、800人が亡くなった
ことを修行者は知ります。
それに遅れて、コレラ菌が道を戻ってきます。
それを見つけて、修行者は尋ねます。
「お前、殺すのは400人と言っていたが、なんで
800人も殺した?」
コレラ菌は、答えます。
「わたしはきっかり400人を殺しました。残りの
400人は、コレラと聞いておびえて、死んでいった
ので、わたしの仕事ではありません」
結構前に読んだもので、記憶を頼りに補いましたが、大筋はこんな感じだったと思います。
いろいろなことを読み取れますね。
コレラには、コレラの果たさねばならない仕事があるのだから、コロナにも、コロナの果たさなければならない仕事がある。
こうも読み取れるでしょう。
そうだとすれば、わたしたち一人ひとりにも、果たさねばならない仕事があることになります。
現在の医学の知見から、正しくウィルスのことを知って、最大限の防御をすることは必要ですが、恐れてばかりはいられません。
感染しないように、そして、周囲の人にも感染させないように気を付けて、でも、罹ってしまったら、それはもう仕方のないこと。お医者様にかかって、安静にして、回復を待つしかありません。
インターネットが登場して、なんでも検索して知られるような風潮がありましたが、コロナはそんなものはあてにはならない、「生きるとは、そのようなものだ」と、肚をくくる、覚悟を決めることも大切だと教えてくれているような気がします。(*4)
果たさねばならない仕事をするには、少しは息抜きが必要です。その中には、最小限にとどめたとしても、人に会うことも含まれます。時と場所を考えたうえで、マスクをして、最大限の感染予防をしても、どうしても感染してしまうこともあるでしょう。
コロナより怖いもの
ちなみに、コロナの死亡率は、現在のところ、日本でしたら、感染者数が20.7万人で、死亡者は2941人。およそ1.5%が死に至る計算です。(*1)
それでは、アルコール依存症に、どのくらいの方が罹って、亡くなられているかご存じでしょうか?
患者数は80万人という統計があります。そして、予後10年の死亡率は30%から40%とされています。つまり、年間に直せば、3-4%、年間24000人が亡くなっている計算となります。(*2)今年コロナで亡くなった方の8倍です。
同様に、摂食障害では、20万人。10年で10%の人が亡くなられるという報告があります。1年で1%とすれば、2000人の人が亡くなられる計算になります。(*3)
また、一説に、自殺される方の1/3はうつ病に関連しているそうです。今年11月までの自殺者数は1万9225人。その1/3は、6408人。今年、コロナで亡くなられた方の2倍以上。
今、テレビを点けると、コロナがどれだけ猛威を振るっているかがまくしたてられています。そして、「Go 」とか、「Stay」とか伝えられますが、同じ画面でアルコール飲料のCMが流れ、体形を揶揄する言葉が飛び交います。
こう考えると、コロナが怖いと家にこもって、アルコールを片手にテレビを点けっぱなしにしているのが一番危険なのかも分かりません。
「大きなお祭り」から少し距離を置こう
では、どう過ごすのが一番よいのか。
テレビやインターネットのニュースと適度な距離を置くこと。つまり、心のおもむく先に引っ張られっぱなしでいないこと。気持ちの上で、路傍の木の下の修行者でいること、つまり、こうした、古くから、人はヨーガと呼びならわしたことを、身につけるということに尽きると思います。
いうまでもなく、その中には、適度に身体を動かすことが含まれます。身体が重くなると、どうしても心も重くなります。
マスクをする、手洗いをするのと、同じように、心を清潔に、恐れや怒り、憎しみ、羨望や嫉妬などに振れたままにしない。そのためにも、定期的に身体を動かす。散歩をする。料理をする。何か、実際にリアルなものを作る。人のために動く。マインフルな時間を過ごす。
そのためにも瞑想を心がける。
これが、わたしたちにできる最上の生きる道と言えると思います。
最後に
後世になって、「2020年から、コロナをきっかけに、大勢の人が、『自分のヨーガ』をスタートした」と、コロナがこの世で果たしたよい仕事の一つと数えられるといいなと思います。
そうなるよう、来年は今年以上に、ヨガ友 を増やすべく頑張りたいと思います。
コロナのおかげで、このようにオンラインでご一緒できるようになった今年、ここまで支えて頂き、本当にありがとうございました。
来年も、なにとぞよろしくお願いいたします。
(*1)グーグルの統計情報(2020年12月24日)
(*2)厚生労働省によれば、治療が必要とされるアルコール依存症の患者さんの数は80万人。
(*4)
ちなみに、以下が2019年の検索ワードベスト9です。
台風19号
令和
ラグビーワールドカップ
あなたの番です
ドラクエウォーク
オリンピックチケット
京都アニメーション
鬼滅の刃
吉本興業
写真は、千葉の九十九里の海でこの秋撮ったもの。自然の中ほど、安全で、自分自身でいられる場所はないというのも、コロナの教えてくれたことですね。
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