「わたしたちは夏を食べている」
早いものですね!
季節は移り替わって、穀雨、立夏、小満、芒種を過ぎ、夏至を迎えました。
穀雨は、穀物を実らせる雨の降るころという意味。
芒種とは、稲や麦など、穂のなる食物の種をまくころという意味。
夏至(6月21日)にお日様がそのピークに達すると、ゆっくり、小暑(今年は7月7日)あたりから日照時間が短くなってきます。
すると、ここまでぐんぐん伸びてきた稲が、子孫を残そうと、種を作り始めます。(一苗に、千粒ほどつけるそうです!)*
こう見てみると、つくづく、わたしたちは、お日様の子供と思います。
夏に育つ米を食べて大きくなる。
わたしたちは、夏を食べている。
夏に降り注いだエネルギーを頂いて、大きくなって、動いて、感じて、考えて、こうしてお互いにコミュニケーションをとっています。
(* https://heliostera.com/article/20210625/ 地球暦さんの記事 より)
「梅雨は人との距離を近くする?」
さて、5月の初旬に立夏を迎えて、8月の初旬には立秋となるこの3か月が夏となるわけですが、そのうちおよそ1か月は、日本列島の多くの場所では梅雨となります。
この、梅雨こそ、もっとも日本らしい季節。
冬は結構寒くなるのに、日本家屋があんなにあけっぴろげで風通しをよくした作りなのは、この時期の湿気を嫌ってのことです。
米、みそ、梅干しなど、日本人の身体を作ってきたもののができるのがこの時期。
最近読んだ本によると、湿気があると皮膚は表皮にある角質層を薄く保つようになるそうです。「面の皮」が「薄く」なるわけです。
米を作る作業に忙しいこの時期、皮膚と皮膚で互いを感じ取る、いわゆる「阿吽の呼吸」はこうした風土から生まれたのではないかと思います。
あまり広く開けていない、湿度の高い場所で、毎年毎年、決まった順序で、共同で農作業を重ねていく時、そこに必要なのは雄弁さでなくて寡黙さだったのでしょうか。
そよりとも動かない湿度の高い空気のなか、皆で同じ作業をしていると、何も言わなくても何かが伝わってしまうということがあるのかも知れません。
『皮膚に要らないものが残ってしまうと邪気となる』
言語以外のコミュニケーションは発達したかも知れませんが、湿気が強く、汗が逃げていかないと、身体には応えます。
汗が蒸発しないと、要らないものが残ってしまう。
これが梅雨の不快感のうちの大きなもの一つです。
皮膚は、単にわたしたちと環境との、バリアーを作っているだけではなく、皮膚として、感じ、考えているのではないかという研究結果があります。
要らないものが残ったままの皮膚は、わたしたちの思考や内臓の働きに影響すると考えてよさそうです。
東洋医学で湿邪といって、この時期に注意すべきものとされるものは、こうした、皮膚に残ったものと考えられるかも知れません。
「わたしたちは皆、100坪の広さ」
わたしたちと環境の境目は、表皮だけでなく、胃腸や呼吸器など、身体の中に入り組んだ部分もあります。
そのすべての面積は、バレーボールコート2枚分より大きく、テニスコートの2枚分より少ない程度。
(小腸200㎡、大腸100㎡、肺70㎡ +皮膚1.6㎡・鼻腔02㎡etc=370㎡+α バレーボールコートは、18メートル×9メートル=162㎡、テニスコートはおよそ200㎡=およそ60坪)
都内で100坪以上の土地・・というと、大きな財産ですが、わたしたちは、誰もがそうした面積を外界に触れさせて動き回っているのですね。
『100坪を清浄に快適に』
「湿邪」は、皮膚だけでなく、呼吸器、消化器にも溜まるとされます。
肺に溜まれば、痰のように、呼吸を妨げるものになりますし、胃腸に溜まれば、その働きを滞らせ、食欲不振や下痢、便秘などになります。
関節に溜まれば痛みに、三半規管に作用すればめまいになります。
では、こうした湿邪をとり入れないで、余分な水分を排出するにはどうしたよいのでしょうか。
それは、湿気の溜まる場所をきれいにすること、そして。身体を冷やさないことです。
公共の交通機関やオフィスでは、もう冷房がかなり効いています。
必ず一枚、羽織れるものをもって、靴下をはいて、しっかり夏の寒さ対策を行いましょう。
そして、体内の余分な水分を排出する働きをしてくれる腎臓をよい状態に保つこと。
腎臓によいのは、温めること、冷たいものを取りすぎないこと、温かいもの、消化によいものを取ること。
トマトやキュウリなどの生野菜、フルーツも取りすぎに注意しましょう。
生の野菜を頂きたい場合は、塩でもむことで水分の摂りすぎを防げます。また、トマトもきゅうりも、火を入れて調理してもおいしいですね。
マクロビオティックでも、生野菜は梅雨明けまで待って・・と教わりました。
そして、消化に重いものは避けて、この時期も、胃腸を軽く保つことが大切です。
胃腸に長くものを留まらせない。消化によい、温かいものを、さらりと頂戴しましょう。
また、汗をかくことも大切です。そして、かいた汗をよく拭い去るか流してあげること。皮膚の働きを助けてあげましょう。
(7月22日(木・祝日)には、一日ヨーガ断食講座を友永ヨーガ学院の荻窪の教室で行います。胃腸の働きを高めて、内側からきれいになりたい方は、ぜひご参加をご検討ください)
『それでも疲れてしまったときは』
それでも、注意を重ねていても、疲れてしまうことはあります。
そんな時には、よく休みましょう。
お風呂もこの時期、いいですね。
汗を流して、腎臓をいたわり、湿邪を排出してくれます。
入浴後はもちろん、適度な水分補給をお忘れなく。
疲れても、集中してお仕事をしないといけない時はどうするか。
そんな時は、香りを見方につけましょう。
湿度が高く、香りの粒子が滞留しやすい気候です。
この時期、外を歩いていて、百合やくちなしの香りにはっとさせられることはないでしょうか。そのように、香りは、わたしたちを思考の外へ連れて行ってくれます。
済んだことは、済んだこと。まだ起こっていないことは、まだ起こっていないこと。できることは、今、なすべきことに集中することだけ。
お香やアロマの香りに助けてもらって、事にあたってみましょう。
いずれにしても、自分が今、どんな状態にあるのかを知ることが大切ですね。
頭の働き、胃腸の働き、皮膚の状態。
『わたしは梅雨にやられていないか」
自分を観察する視点と、今なさねばならないことに集中する力を与えてくれるのがヨーガです。
この季節も、ご一緒に、ヨーガを杖に乗り切って参りましょう。
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